論 考

日英与党の大敗予測

筆者 奥井禮喜(おくい・れいき)

 ロイターによると、7月4日実施の英国総選挙予測調査(5万8000人)で、与党保守党の歴史的大敗という結果が出た。スナク首相の与党・保守党は議席140がやっと、野党・労働党は422の歴史的大勝利が見込まれる。

 これは最近の与党政治の不人気だけではない。2016年キャメロン首相時代(在任2010~2016)にすでに不人気は決定的とみられたが、ブレグジット騒動に政治的関心が集中し、以後、メイ、ジョンソン、トラス、スナクと4人にたらい回ししてきた。

 スナク氏は善戦しているとの見方もあるが、ブレグジットの大混迷! も含めて、不人気沈滞のダメージを再建するには至っていない。なんとか持ちこたえてきたが、いよいよ臨界点が来る。

 こちら、岸田氏は6月23日国会会期末解散を考えていたが、とても解散どころではないというのが与党内のきつい雰囲気で、さすがの岸田氏も解散見送りするらしい。

 スナク氏は、不人気の絶頂を脱して、いまならなんとか勢力維持可能と踏んで下院選挙に踏み切ったのだが、見込み外れになる見込み。

 岸田流は時間稼ぎで少しでも人気挽回を図りたいのだろうが、まさに自民党内でにぎやかにささやかれている! この看板では選挙ができないのであって、有権者は岸田政権のひたすら迷走を忘れないだろう。少々時間が遅れるかどうかにすぎない。

 ただ、岸田氏はなかなかの頑固一徹、わが道を行くロマン趣味の人であるから、引き留められる袖がちぎれても単独で駆け出す可能性がないではない。まあ、そのほうがご本人としては、自身で権力しがみつきに引導をわたすことになる。

 なにがなんでも、岸田氏は憲法改正の足跡を残したい。そこで、「大規模災害などで選挙実施が困難になった場合に備え、国会議員の任期延長を可能にする」憲法改正をめざしている。

 これも少しでも支持層固めを図りたいがゆえであるが、有権者は、岸田政権下での憲法改正はご免だと意思表示している。岸田氏の性懲りのなさ、臆面のなさはそれなりに本物だという証明である。

 これでは、まるでばくち依存症的というか、どんどん泥沼へはまっていくというか。いずれにしても、期せずして「日英同盟(1902)」が再現されるか。