論 考

なんでもありか

筆者 奥井禮喜(おくい・れいき)

 政治改革というから、さぞかし立派な内容だろうと思うが、なんのことはない。中身は政治家の裏金つくり問題の処理にすぎない。

 こんなものを半年以上も費やして議論したばかりか、中身はまるで締まりがない。挙句は「政治にはカネがかかる」と居直った。

 ならば、堂々と公開すればよい。誰も必要なものを否定するともりではない。ところが、公開ができない。公開ができないのは後ろ暗いからで、「政治にはカネがかかる」という大義名分とは合致できない。

 後ろ暗いカネを政治資金として法律化するなど本末転倒、お話にならない。自民党はここまで堕落した。アウト、かつローだ。

 岸田降ろしがちびちびのそのそ始まっているが、そもそもみなさん一蓮托生、同じ穴の同居人だから迫力がない。岸田氏に代わる人物がいないのは当たり前だ。安倍・菅コンビで政治をガタガタにした菅氏が、こんどは正義(?)の仮面をつけて政局を動かそうとする。そんな資格があるものか。まして、キングメーカー気取りで蠢くのを許すなど噴飯ものだ。

 新聞の政治部は、いったいなにを主張してきたのか。政局騒動ではおおいに議員を叩いておいて、その人物に動きが出れば持ち上げるみたいな扱いをする。これでは、政治部は政治の大局を押さえて論陣を張るのではなく、政局マッチポンプ屋ではないか。

 国民のイライラ、憤りは高まっている。民主主義の危機だという指摘はそれなりに妥当だ。ただし、政治部さんにも自省・自戒してもらいたい。自分たちの腹が座らないペン先もまた政治不信を拡大しているという事実を見なくてはならない。

 こんな調子だから、公設掲示板ジャックの愉快犯が大きな面をする。法的に処分するかしないかの問題とは別に、きっちり批判を強めるのがスジだ。秩序を守るのは法律だけではない。きちんとした論調で社会を照らす自覚を持たねばならない。虫が湧いてくる事情を考えることと、虫を駆除することは別ものだ。

 これではごみ風船を飛ばす国柄と変わらないじゃないか。