2009/11
ボランティアの才は万人にありライフビジョン学会





ボランティアの事務作業風景

AMDA福山クラブの皆さん。


ライフビジョン恒例
今年のカンパはAMDAへ














































インドネシア・コロン・パリット村での巡回診療
スマトラ島沖地震被災地の手術室







































AMDA福山の初仕事、音楽コンサート会場で菅波代表夫妻と。右端が筆者。

AMDAのボランティア・活動レポート
ライフビジョン学会会員・藤井逸子


 私は、あと数ヶ月で迎える定年を楽しみにしている現役のサラリーマンである。私の自由時間、つまり会社勤め以外の時間は家事と趣味とボランティアで忙しい。もっとも家事はもうベテランだから手抜きの技をしっかり身につけているので、あまり時間はかからないけど。
 私はいま、AMDAの活動にボランティアとして参加している。友人がボランティアに行っていたのが縁で1995年、AMDAの津曲兼司医師から「阪神淡路大震災の緊急救援活動報告」の講演を聞く機会があった。
 AMDAは「困った時はお互い様」という相互扶助精神のもとに1984年設立、現在では紛争・災害・貧困に苦しむ人々への保健医療支援を柱とする国際人道支援活動を、アジア・アフリカ・中南米50カ国(2008年度は6カ国)で展開してきた特定非営利活動法人である。
 その時の津曲医師の、実体験に基づく迫力ある講演に感銘を受けた数人でAMDA本部に行き、医療知識がなく、英語もできない私達でもボランティアとして活動できることがあることを知ったのが、私たちのAMDAボランティアのスタートだ。
 会社の休日に2〜10人でAMDA本部へ行き、事務職サラリーマンの得意技である(?)資料整理、パソコンでの資料作成、機関紙の発送、また主婦の得意技である(?)支援物資の整理等を行った。当時は海外への資料送信がメールではなく、FAXだった。このFAXもなかなか繋がらなくて、何度も何度もFAX番号をコールし、数時間かけてやっと送信する、というボランティアもあった。


会社は人財の宝庫
 サラリーマンの強みの一つは人脈!何しろ会社は人財の宝庫である。
 たとえば英語の堪能な会社の人を巻き込み、翻訳ボランティアをお願いしたことがある。
 ある時は音楽活動をしている社員に持ちかけて、コンサートをAMDAのチャリティーコンサートとして貰い、必要経費を差し引いた収益をAMDAに寄付してもらった。その時は企画段階から参加し、チケット販売、裏方の手伝い、コンサート当日のAMDAグッズ・書籍の販売、チャリティーコンサートの記事を機関紙に掲載する等等、メンバーそれぞれの持ち味を生かして役割分担、仕事で培った進め方が役に立った。
 演奏者たちには演奏した満足感だけでなく、打ち上げの呑み代に使っていた収益を寄付することにより、自分達の演奏が「人の役に立った。」という満足感も得られたと喜んでもらえた。また、私達がチケット販売を手伝ったことにより、今までとは異なる観客が増えたことも喜んでもらえた。演奏会の成功は私達に、仕事とは異なる達成感をもたらした。
 2004年の新潟県中越地震では、災害弱者である高齢者が多く入所した特別養護老人ホームにAMDAから介護福祉士、介護士、看護師を派遣することにしたのだが、交通が遮断している。そこで岡山から現地まで、介護士らを車で送迎することになり、そのためのドライバーが必要だが、誰かいないかとの問い合わせを受けた。
 宿泊を伴う平日でのボランティアであることから、現役にお願いするのは無理と判断し、会社のOBの会に話を持ちかけたところ、運転に自信がある数名のOBが名乗りを挙げてくれた。長距離の運転でかなり疲れられたようだが、ドライバーたちは被災地の現状を確認することができ、自身が人の役に立ったことに満足感を覚えたようだ。(AMDAから感謝状が出たので家族にもプチ自慢?)


ボランティア活動は世界を広げる
 AMDAは岡山市を拠点とする国際組織である。東広島市のひろしま国際協力センターで開催された国際会議やNGOカレッジの運営ボランティアでは、宗教、習慣の異なる方たちの食事準備や、バスがなくてタクシーで来たがその差額はどうなるのかと、ボランティアの足代について受付でいきなり抗議されるなどの戸惑いもあったが、貴重な体験であった。
 NGOカレッジの講義をまとめた本「はばたけNGO・NPO」の出版に際し、講義内容のテープ起しをしたメンバーの名前を巻末に記載して貰ったことは、ボランティア冥利につきる喜びであった。反抗期の息子に「お母さんって凄いなあ!」と言われたという喜びの声もあった。
 立ち上げ時のAMDAホームページ(以下HP)は岡山理科大学の大西ゼミで制作していた。「パソコンが使えるサラリーマンならHPが作れるでしょ。」というAMDA創設者の菅波茂代表のとんでもない発想で、なんとなくAMDAのHP作りに関わることになった。しかし当時のボランティアメンバーは誰もHPが作れなかった。そこで大西ゼミの学生さんたちに教えていただきながら、また、会社ではHPの作成をしている人を巻き込み、メンバーで勉強会をして取り組んだ。(当時はHP作成ソフトを使わず、タグを書いていた。)これを機に自宅パソコンにインターネット環境を入れた仲間も多かった。
 こどもが通っている中学校で、文化祭の「1円玉・5円玉アート」のお金をどこかに寄付したいとの話を聞いた。これは学校の中庭いっぱいの大きさのデザイン画を1円玉・5円玉を貼り付けて完成させるアートで、デザインやキャッチコピーは生徒から募集する。
 カンパ先としてAMDAを紹介したところ、生徒会役員と先生がAMDA事務所に話を聞きに行き、実現の運びとなった。当日はちょうどアフリカから一時帰国していたAMDAの調整員が実体験を話し、生徒達に感動を与えた。さらにこの1円玉アートの記事が地方紙の一面を飾り、生徒や保護者、先生方にとって大きな喜びのようだった。この時の募金は80,422円。以来10年経った今も、形を変えてAMDAへの支援が続いている。


仕事とボランティア、なにが違うか
 AMDAのボランティアをする以前、私は会社の仲間と行政が運営する施設にボランティアに行き、子どもたちが施設内で着る服に布の名札を縫い付ける作業をしていた。大きなダンボール箱数個が置かれていて、全部に名札を付け終えたら作業終了だ。お喋りしながらの作業は楽しかったが、都合が悪くて行けない時に「何故?」と言われたり、「園内でバザーをするから○人来てください。」と善意を強制されているようで、メンバーが集まらなくなり止めてしまった。
 津曲医師の講演で「ボランティアは楽しんでやらないと援助を受ける人も幸せになれない。」と言われた言葉は私にとって目からうろこだった。菅波代表からも「自分がHAPPYでないと人をHAPPYにできない。」との話を度々聴いた。
「ボランティアが楽しいなんて、おかしい。」と言う人もいるが、自分が楽しいと感じられること、興味あることだけのボランティアだって何もしないよりましだと思う。その思いで周囲にも声をかけている。
 私達がしているAMDAのボランティアは、私たちが会社でしている仕事と似ているところが随分ある。ボランティアでしていると気持ちが違うのは何故かな?とメンバーで話したことがある。
 会社の仕事は「やりたくなくても、やらなきゃいけない!」が、ボランティアは「できる時にできることをする。」自分が主体だから気持ちが違う。回りにウザイ人がいないのもいい。(笑)上下関係もないので、フラットに話ができる。自分の思いを素直に口に出せる。作業の合間に聴く話が新鮮である。世界が広がる思いがする。
 大きな違いは、義務感だろうか。ボランティアは仕事ではないし、義務感を持ってするものでもないと思う。都合の付く時に都合が付く人だけが参加するというのが、私たちのスタンスだ。このスタンスでこれからも細く長く続けていきたい。
 こうして自分たちができることを楽しみながら続けてきたボランティアが、13年を過ぎようとしている。活動がちょっと停滞気味になっていたが「AMDA福山クラブ」を設立し、アンテナを広げ、新たな活動をしようと思っている。
 AMDA福山クラブとしての初仕事は、この春AMDA創立25周年記念としてあすかグループ(菅波代表が経営する医療・介護法人グループ)がシンフォニーホールで開催した「あすか健康村音楽祭」のお手伝い。昼前に会場に行き、車椅子で来られる方たちのためにホールのドアの開閉係を担当した。終演までの4-5時間、ドアのそばに立って音がしないように開閉するだけだが、これもコンサートの成功には不可欠のボランティアなのである。


経験や興味が生かせるシニアボランティア
国連経済社会理事会総合協議資格NGO
AMDAボランティアセンター事務局長 成澤貴子


 AMDAの災害時の緊急医療救援や国際医療協力活動は、日本の皆様の温かいお気持ちに支えられています。
 海外の活動を支える様々な国内の仕事や活動にボランティアの方々が携わってくださっています。活動の様子を伝えるパネル(A3サイズラミネート加工)を作成して、地元の小学校に届ける活動を年間を通して担当してくださっていたり、地域の様々なイベントの参加、資料整理や翻訳等々様々な国内活動にボランティアの方々の力は欠かすことのできないものです。殊に、中高年・シニア世代の豊富な経験や見識は、NPO・NGOでは組織そのものにとって大きな宝となります。
 個々の方のこれまでの経験や興味関心に応じて、関わりを持っていただけるのがボランティアの特色といえるでしょう。そして、活動に参加してみることで、他では得られない情報や人間関係に触れ、充実感を得たり、また日常生活からの息抜きができたりということが、元気に人生を過ごすことにつながるのだと思います。介護する生活の中で、1週間に1時間のボランティア活動がとても貴重な時間となったというような経験談を何人もの方からうかがいました。
 岡山から地理的に離れている方でも、まずは会員になっていただき何人か集まる機会を地元で作っていただければ、AMDAから活動報告会の出前をいたします。
 シニア世代の元気の秘訣は「読み書き体操、ボランティア」といわれます。生き生きとシニア世代を過ごす、そのための一つの窓口としてAMDAボランティアセンターがお手伝いさせていただきます。どうぞお気軽にお声かけください。(事務局時間 月〜土曜 9時〜18時)

AMDA
〒701-1202 岡山市北区楢津310-1 電話:086-284-7730 FAX:086-284-8959

メール member@amda.or.jp   http://www.amda.or.jp







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