2014/01
ゼロから1が立ち上がるときライフビジョン学会



 2013年12月14日土曜日、ライフビジョン学会では第18回目のチャリティーオークションパーティを開催しました。
 今年のカンパ金は岩手県田老にある仮設住宅の皆さんに、小型の除雪機をお贈りしました。







グリーンピア三陸みやこの全景。
本文丸数字と写真を関連付けてご覧ください。 拡大画像はこちら


 除雪機が搬入されました

 使い方の講習風景

 ライフビジョン学会の代理として目録を渡す松本さん(右)と、自治会長の赤沼さん。

 冬に備える仮設住宅
 東北被災地の皆さんの日常はまだ復旧段階です。仮設住宅にはまだ、たくさんの皆さんが不自由な生活を続け、住民の高齢化は着実に進んでいます。岩手県宮古市にある田老元気なまちづくりプロジェクトの松本篤子さんは、「除雪機があればいいな」とつぶやきました。そのつぶやきがライフビジョン学会主催・チャリティーオークションパーティの応援を得て実を結びました。
 現地からのレポートをお届けします。

仮設住宅に初めての自治会が生まれました
TGMP(田老元気なまちづくりプロジェクト実行委員会)
会長 松本篤子
 つぶやきの始まりは一人の中学生保護者の声がきっかけでした。
 東日本大震災の年、仮設住宅の壁の結露と日々戦っていた2011年12月、私がPTA会長をしていた田老第一中学校の保護者会でN氏が、「テニスコート仮設からスクールバスのバス停までを、家庭用除雪機などで除雪してもらえないだろうか?」と発言しました。
 リゾート施設であった「グリーンピア三陸みやこ」は震災直後から、被災者たちの支援施設となっています。パシフィックアリーナ@はメインの避難所に、体育館Bは支援物資配給所に、焼肉ハウスFやクラブハウスGは食堂や店舗、そしてエネルギーセンターJKには田老の一大産業である漁協が入り、大駐車場Lはヘリポートやケアハウスとして活用されています。
 住民の生活の場である仮設住宅は、グランド仮設E(約200世帯)、駐車場仮設N(約30世帯)、テニスコート仮設D(約90世帯)と3箇所で、バス亭まで一番離れているのがテニスコート仮設です。
 N氏の要望をどこに持っていけばいいのか。全く分からず、分かったのは教育委員会側では何もできないということだけで、結局その場では保留にされてしまいました。
 その年は人力で除雪を行い中学生による除雪隊「スノーバスターズ」が発足したこともあり、私の頭の中から除雪のことは消えていました。
 3回目の冬を迎えようという2013年秋、かねてから交流があったライフビジョンの奥井禮喜氏より電話が入りました。「何か、田老に支援できることはないだろうか?」
 私は駄目で元々と、「除雪機の支援をしてもらえないだろうかと」つぶやいていました。まさか本当に実現するとは全く思ってもいませんでしたが数日後、GOサインが出たとの連絡が入り、とんとん拍子に今回の支援をしていただくこととなりました。
 しかしいざ実現となると、新しい問題が発生しました。
 その話が持ち上がった当時、自分たちは仮の住民であるから何も出来ないとの思いから、仮設住宅に自治会は有りませんでした。
 しかしGOサインが出てみると、除雪機は誰が管理するのか? 置き場所は? メンテナンス費用はどのくらい掛るの? と、解決しなければならない問題が出てきました。私は、仮設住民同士で自から協力し話し合わなければ、いつか近い将来に支援は打ち切られる。今のままでは仮設住民の自立への道はないのではないか? と、住民自治の必要性についてN氏に投げかけました。
 一人では解決できない問題であることを察したN氏は、協力して頂けそうな住民に一人ひとり声掛けしていき、平成25年11月4日、あの日から2年8ヶ月ぶりに、グリーンピアで初めての、「テニスコート仮設住宅自治会」が発足しました。
 名称をテニスコート仮設住宅自治会とし、自治会会則を作り、第2条の(目的)には以下のように謳いました。
 本会は以下に掲げるような地域的な共同活動を行うことにより、親睦と福祉の増進を図り、明るい健康的な地域社会の維持及び形成に資することを目的とする。
 (1) 回覧板の回付等区域内の住民相互の連絡
 (2) 美化・清掃等区域内の環境の整備
 (3) 福祉及び防犯に関すること。
 (4) 教養、文化及び体力向上に関すること。
 (5) 関係機関に対する提言要望に関すること。
 (6) 地区内諸団体との連絡調整
 (7) その他、会の目的達成に必要な事項に関すること。

 一連の活動を通じて、問題が起きた時、一人では解決不可能なことをそこに住む住民たちが協力し、話し合い、人と人とが手を繋ぐことによって、今回のようなすばらしい事業を成功させることができることを実感しました。
 「風が吹くと人は動く」と聞きました。それは地域、業種を問わず、いろんな関係を持った仲間に向けて自分たちから風を巻き起こし、人を動かし、状況を変えていることだと思います。日本中にこのような風が吹くことを切に望んで、田老から報告させて頂きます。
 ご支援して頂いた皆様に心からお礼を申し上げます。

407世帯で使用させていただきます
グリーンピア三陸みやこテニスコート仮設住宅
自治会長 赤沼正晴
 このたびは私たち仮設住宅入居者のため、小型除雪機をご支援くださいまして誠にありがとうございます。
 東日本大震災から2年8か月が過ぎましたけれど、震災前の生活は取り戻せずにおります。仮設住宅に入居してから3回目の冬を迎えようとしているとき、私たち地域住民にとって有難いプレゼントをいただきました。
 テニスコート仮設住宅には2011年6月15日、122世帯が一斉に入居しましたが、宮古市中心地に自力再建できる30世帯の方は新築移転し、2013年12月24日現在、92世帯が共同生活で頑張っております。
 入居住民には一人ひとり諸事情があると思っていますが、笑顔を忘れず元気で生活できるのも、ご支援くださった皆様や全国から寄せられた温かいご支援に支えられて一歩一歩前に進もうと、一生懸命だからであります。
 仮設住宅は田老地区市街地から北へ8q離れた、標高110mの高地にあるため、毎年40cm位の雪が降り、除雪が大変であります。高齢者が早朝から雪かきをする姿が見られる季節になりましたが、今年はライフビジョン学会様から小型除雪機をプレゼントされまして、感謝の気持ちで一杯であります。温かいご支援誠にありがとうございます。
 ご支援いただきました430,100円は私どもの「テニスコート仮設住宅自治会通帳」に確かに入金記帳されました。
 除雪機はグリーンピア三陸みやこにある3団地407世帯で使用させていただきます。
 資金の使途は12月28日現在、まだ請求書が届いておりませんので清算書を送ることができませんが、
 1.除雪機1台(税込) 336,000円と聞いております。
 2.残金の94,100円は、消耗機材費、燃料費に充当させていただきたいと考えています。
 また、田老元気なまちづくりプロジェクト実行委員会・松本篤子様にもお力添えをいただきました。重ねて感謝申し上げます。







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